高齢者の口腔機能|医療法人城北 城北歯科医院・矯正歯科|名古屋市北区にある歯医者

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高齢者の口腔機能

高齢者の口腔機能|医療法人城北 城北歯科医院・矯正歯科|名古屋市北区にある歯医者

高齢者の口腔機能について

高齢者の口腔機能について

全身の機能は加齢とともに日々、不活発になりコミュニケーションも希薄になると免疫力が下がります。特に高齢者は、要介護の手前である「フレイル(虚弱)」が加速していきます。
口腔機能に対して、定期的な口腔ケアや専門家の定期的な診察は重要であり、口腔機能の維持や問題の早期発見に役立ちます。口腔機能の低下が認められれば、口のトレーニングを行うことで年齢と共に低下していく口腔機能を未然に予防することができます。

フレイルとは

なんだか最近よくむせるなあとか、かたいものを食べるのが億劫になったな、とかそういう変化を感じることはないでしょうか?
全身の機能は加齢とともにすこしずつ低下していきます。その変化はとてもゆっくりですのでなかなかご本人も気がつきませんが、最初にお口の症状に出てくることがあります。
そのため、口腔機能に対して定期的な口腔ケアや専門家の定期的な診察は重要であり、口腔機能低下の早期発見に役立ちます。口腔機能トレーニングを行うことで年齢と共に低下していく口腔機能低下を未然に予防し、全身機能の回復へと繋げていくことができます。

フレイルとオーラルフレイルの関係

フレイルの前段階であるプレフレイルの段階にオーラルフレイルの症状が現れます。口から物をこぼす、うまく呑み込めない、滑舌が悪くなるといった軽微な衰えのことであり、この状態を見逃すと全身的な機能低下が進むと言われています。

オーラルフレイルのチェックリスト

チェック項目(OF-5)

・自身のは何本ありますか

□0〜19本

□20本以上

・半年前と比べて固いものが食べにくくなりましたか

□はい

□いいえ

・お茶や汁物等でむせることがありますか

□はい

□いいえ

・口の渇きが気になりますか

□はい

□いいえ

・普段の会話で、言葉をはっきりと発音できないことがありますか

□はい

□いいえ

2つ以上あてはまる場合に「オーラルフレイル」

※評価が可能な場合
オーラルディアドコキネシス(/ta/音) 
□6.0(回/秒)未満 □6.0(回/秒)以上

フレイルサイクル

フレイルチェックリストは「言われてみれば自分もそうかもしれない…」ぐらいな些細なことばかりなのですが、口にはさまざまな筋肉が協調して働いています。一つ一つの衰えが些細でも、それらが積み重なると、まるで負の連鎖のように体のあちこちに不調が出ることもあります。オーラルフレイルの兆候を見逃していると、口の周りの筋肉量や筋力が低下し、口腔機能の低下、摂食・嚥下障害などにつながります。さらに栄養失調やサルコペニア(筋力低下)も発症しやすくなり、これらが負のサイクルとなってどんどんフレイル状態が進行していきます。

オーラルフレイルの予防に努めましょう

お口の衰えが気になったり、チェックリストの点数が気になった場合には、早めにかかりつけ歯科医を受診して相談してみましょう。年に3、4回定期的に歯科医院を受診する習慣を持つことをお勧めします。この定期的な歯科検診は、口の衰えだけでなく全身の衰えを防いで健康を守ってくれます。オーラルフレイルを知った今だからこそ、受診のタイミングです。

ソーシャル・フレイル(社会性の虚弱)

フレイルの中には、社会とのつながりを失った状態をさす「ソーシャルフレイル」という言葉があります。人や社会との繋がりが希薄になれば、社会性が欠如し、それが認知機能の低下を招きます。また、食事や口への関心がなくなってオーラルフレイルが進行することや、体を動かす機会が減って身体機能が衰えてしまうことがあります。
しかし、フレイルは可逆性があって健康な状態に戻ることが可能です。早く気がついて、医師、歯科医師、などの支援を受けて生活習慣を改善するところから始めましょう。

口腔機能低下症について

お口の機能が弱るオーラルフレイルは些細な「兆候」として現れます。この兆候は機能訓練によって回復することが可能です。さらに、オーラルフレイルが進行すると口腔機能低下症という「疾患」の扱いとなりますが、こちらは保険診療にて治療することができます。

口腔機能低下症は、以下の診断基準に示すように7つの項目からなっています。
歯科医院で検査を実施して、「口腔機能低下症」という診断名がつく状態であれば管理計画を作成し、口腔機能トレーニングを開始していきます。

下位症状 検査項目 該当基準
① 口腔衛生状態不良 舌苔付着程度 50%以上
舌背上の微生物数 3.162x106CFU/mL以上
② 口腔乾燥 口腔粘膜湿潤度 27未満
唾液量 2g/2分未満
③ 咬合力低下 咬合力検査 500N未満
残存歯数 20本未満
④ 舌口唇運動機能低下 オーラルディアドコキネシス どれか一つでも6回/秒未満 pa
ta
ka
⑤ 低舌圧 舌圧検査 30kPa未満
⑥ 咀嚼機能低下 咀嚼能力検査 100mg/dL未満
咀嚼能力スコア法 スコア0,1,2
⑦ 嚥下機能低下 嚥下スクリーニング検査(EAT-10) 3点以上
自記式質問票(聖隸式嚥下質問紙) 1項目以上該当

口腔機能低下症の診断・管理計画とトレーニング方法

口腔機能低下症の診断・管理計画とトレーニング方法

患者様ごとに口腔機能の状態は多種多様な状態になっていますので、各患者様ごとに管理計画を作成し、トレーニングのプログラムを決定します。
下の表に示すように、大きくわけて4つの項目(歯科治療による機能回復、咀嚼機能、嚥下機能、唾液腺マッサージ)がありその中から必要なトレーニングを選択していきます。

トレーニング対象 トレーニング項目
① 歯科治療 義歯調整・新製
虫歯の治療
② 咀嚼機能トレーニング 舌・口唇の運動 あいうべ体操
無意味音音節連鎖発音訓練
早口言葉
舌の力と持久力 ペコパンダ
頬の力と持久力 ぶくぶく
口唇の力と持久力 ボタンプル
軟口蓋(咽腔閉鎖) ブローイング
咀運動トレーニング さきイカなど
③ 嚥下機能トレーニング 舌骨上筋群のトレーニング 開口トレーニング
頭部挙上トレーニング
嚥下おでこ訓練
咽頭収縮筋トレーニング 舌前方保持職下
敷口蓋挙上 声帯強化訓練
④ 唾液腺マッサージ 耳下腺、顎下腺、舌下腺手指マッサージ

定期的な歯科検診は、口の衰えだけではなく、全身の衰えを防いで健康を守ってくれます。オーラルフレイルを知った今こそ、かかりつけ歯科医院を受診しましょう。さらに、誰かと一緒に食事できる口腔環境を整えることもとても大切です。誰かと食事することで、栄養状態、口腔機能、身体機能、精神面などにおいて良いことがわかっています。口を介して誰かと繋がることで、衰えない生活習慣をつくっていきましょう。