2024年6月より、歯科分野での診療報酬改定が実施され、CAD/CAMインレーの製作において光学印象が保険収載されました。この変更は、歯科治療のデジタル化を推進し、患者さんの口腔内ヘルスケアを向上させるための重要なステップだと考えられています。当院でも対応可能になりましたので、適応する症例ではこれから順次対応していきます。

光学印象は、口腔内カメラを使用して歯の形状や口腔内の必要な範囲を精密に撮影し、3Dデータ化する技術です。このデータを基に、専用の機器で設計および削り出しまでを行うことが可能です。従来の粘土のような材料で型取りを行う必要がなくなり、大幅な時間短縮と患者さんの負担が大きく軽減されることが期待されます。

また、印象（型取り）から詰め物の完成まですべてデジタルで進めることが可能なので、ヒューマンエラーが発生しづらく、とても精度の高い詰め物を作ることが可能になります。

現時点では、光学印象の保険収載はCAD/CAMインレーに限定されています。CAD/CAMインレーは、歯科用CAD/CAMシステムを使用して製作される白いプラスチックの詰め物です。特徴として、金属アレルギーの心配がない、歯の色に近い、などのメリットがあります。

光学印象を保険請求するためには、以下の施設基準を満たす必要があります：

歯科補綴治療の専門知識と経験

当該保険医療機関内に光学印象に必要な機器を有していること

時間短縮：従来の型取り手法よりも迅速に治療が進められます。

負担軽減：嘔吐反射（粘土が気持ち悪い）などの問題を抱える患者さんにとって、型取りの負担が軽減されます。患者さんデータをデジタル管理できるので、感染予防対策にもなります。

医療DX化：技工所とのやりとりもデジタルで進められることになり、医療DX推進にもつながります。

精密性の向上：光学印象により、歯の形状を高精度でデータ化できるため、治療の精度が向上します.

プラスチックのインレーは汚れが付着しやすく、摩耗が大きいことがあります。また、強度面で従来の金属に比べ劣る場合があります。

また、すべての歯科医院で対応しているわけではないことも今後の課題と考えられます。

2024年6月からの保険診療改定により、CAD/CAMインレーの製作において光学印象が保険収載されました。この技術は、歯科治療のデジタル化を推進し、患者さんの口腔内ヘルスケアを向上させるための重要なステップです。歯科医院では、必要な施設基準を満たし、適切な届出を行うことで、この新しい技術を活用し、より効率的で精密な治療を提供することができます。