
学校歯科検診から見える子どもたちの「お口の今」
4月から6月にかけて、全国の学校では「学校歯科検診」が実施されます。城北歯科では今年も北陵中学校の歯科検診を担当させていただいており、5月から6月にかけて全校生徒を対象に検診を行っています。先週は1年生の検診を終えたところです。
学校歯科検診では、虫歯の有無、歯ぐきの状態、歯並び、顎関節などのチェックを行います。ただ、実は「口腔機能」に関する評価項目は現在の検診には含まれていません。口腔機能とは、「食べる」「話す」「飲み込む」「表情をつくる」など、日常生活に欠かせない口の働き全般を指します。
検診をしていると、口腔機能が良好と思われる生徒は、虫歯が少なく、歯ぐきの状態も良く、歯並びも整っている傾向があるように感じます。一方で、口腔機能が十分に育っていないように見える生徒の場合は、歯の汚れが多く、虫歯や歯肉炎のリスクが高く、不正咬合も多く見られる傾向がありました。
また、現在はマスクの着用が個人の判断となっていますが、まだマスクを常時着けている生徒も多く見られました。マスクは感染予防に効果がありますが、口を動かす機会が減ってしまうため、表情筋や咀嚼筋などの発達に影響することがあります。また、口元が見えないために歯磨きの意識が薄れ、口の中が汚れているケースもいくつか見られました。
検診のあと、保健室の先生とお話をする中で、ふと自分が小中学生の頃のことを思い出しました。当時、先生方から「元気なあいさつをしよう」「朝ごはんはしっかり食べよう」「夜は早く寝て、規則正しい生活をしよう」と、毎日のように言われていたものです。正直その頃は、「また言ってるよ」「めんどくさいなあ」ぐらいにしか思っていませんでしたが、大人になった今、その大切さがよくわかります。
もちろん、すべてが直接的に結びつくわけではありませんが、元気にあいさつができて、朝ごはんをしっかり食べて、生活リズムが整っている生徒は、虫歯が少なく、成績も安定しているように感じます。生活習慣とお口の健康、さらには学力まで、すべてが連動しているような印象を受けます。
今後の学校歯科検診では、虫歯や歯並びのチェックだけでなく、「お口の使い方」や「生活習慣」にも目を向けることが大切になってくるかもしれません。お子さんの検診結果を受けて気になる点があれば、ぜひ早めにかかりつけの歯科医院にご相談ください。
そしてぜひ、「あいさつ・あさごはん・規則正しい生活」をご家庭でも意識してみてください。こうした当たり前のことの積み重ねが、子どもたちの健やかな成長を支える土台になるのだと、あらためて感じています。