
本日、愛知学院大学歯学部の教授による「宇宙歯学」の講演会に参加しました。宇宙歯学という言葉を聞いたことがある方は、まだ少ないかもしれません。しかし、宇宙開発が急速に進む中、歯科医療もまた、地球の外へとその領域を広げようとしています。
宇宙空間での口腔衛生と歯科医療の課題
近い将来、宇宙での長期滞在や月面基地、さらには火星移住が現実のものとなるかもしれません。そのとき、宇宙空間での口腔衛生管理や歯科治療の必要性が出てきます。 しかし、無重力環境では、私たちが地上で当たり前に行っている治療やケアが難しくなるという課題があります。例えば、
-
無重力環境では、歯磨き粉やうがいの水が浮遊してしまうため、従来の口腔清掃方法が通用しない
-
歯を削る際に出る削りかすが飛散し、機器に入り込むリスクがある
-
抜歯後の傷の治癒が地球と同じように進むのか、まだわかっていない
このような課題に対応するため、新しい歯科材料や治療機器の開発が求められています。例えば、水を使わずに治療できるレーザー技術や、口腔内の状態をスキャンして即座に診断するAI技術などが注目されています。
微小重力環境での成長と歯の発育
今回の講演で特に興味を引かれたのが、「微小重力空間では胎児が正常に成長するのか?」という疑問でした。地球上では、重力があることで体の成長方向が決まります。しかし、無重力環境では、成長の指標がなくなるのではないでしょうか? この視点から考えると、歯の萌出方向も影響を受けるのではないか、という疑問が生まれます。つまり、宇宙で生まれた子どもの歯は、正しい位置に生えてくるのか? あるいは、宇宙特有の環境に適応した新たな噛み合わせのパターンが生まれるのか? まだまだ未知の世界ですが、こうした研究が今後進んでいくことで、新しい発見があるかもしれません。
未来の歯科医療と宇宙
宇宙旅行が一般化し、人類が月や火星で生活する時代が来れば、歯科医療もその環境に適応しなければなりません。歯科医がすぐ近くにいるかどうかもわかりません。オートメーション化されたロボットや遠隔操作するロボットによる治療なども発達してくるかもしれません。
今はまだ研究の初期段階ですが、「宇宙歯学」という分野が発展すれば、地球上の歯科医療にも大きな影響を与えることになるでしょう。宇宙での口腔ケア技術が、介護医療や被災地での歯科治療に応用される可能性もあります。
宇宙歯学の発展によって、私たちの暮らしがどのように変わっていくのか。今後の研究に注目していきたいと思います。