
屋根瓦式教育
「屋根瓦式教育」という言葉を、みなさんはご存じでしょうか。 これは、医科や歯科の研修医制度でよく用いられる教育システムのひとつで、僕自身も研修医になるときに初めてこの言葉を知りました。病院勤務時代や大学院生のころにも、この仕組みの中で教育を受け、多くの学びを得ることができたと思っています。
先輩から後輩へ
この「屋根瓦式教育」は、名前のとおり瓦が少しずつ重なって屋根を形作っていくように、少し上の立場の人がその下の人を教え、その人もまた次の人に教える、というスタイルの教育方法です。たとえば1年目の研修医は2年目の先輩から指導を受け、2年目の先輩は3年目の先輩に教わる……というように、常に自分のすぐ上の存在が先生となり、自分はすぐ下の後輩の先生になる、という循環が自然と生まれます。
先輩にもメリットがあります
この体制が非常に優れていると感じるのは、指導を受ける側にとって「近い存在の先輩に相談できる安心感」があり、指導する側にとっても「自分がしっかり理解していなければ教えられない」というプレッシャーが、自然と自己研鑽のモチベーションにつながるところです。さらに、自分の指導によって後輩が成長していく姿を見ることは、大きな喜びにもなります。僕自身、こうした仕組みの中で「教えることで、自分も育つ」という経験を何度もしてきました。教育というのは一方通行ではなく、双方向に成長をもたらすものだと実感しています。
医院にもメリットがあります
この「屋根瓦式教育」、ぜひ城北歯科でも取り入れていきたいと考えています。現在、当院では新しいスタッフや歯科衛生士の学生さんも増えてきました。小さな規模の歯科医院では、新人スタッフが診療中の院長に直接質問に来てしまい、診療が中断してしまうというような場面も珍しくありません。しかし、屋根瓦式の教育体制が整えば、まずは近くにいる少し先輩のスタッフに相談できる体制ができるため、診療への影響も最小限に抑えられます。
また、先輩スタッフにとっても、自分が頼られる立場になることで、仕事に対する責任感やプロ意識が高まり、職場全体のレベルアップにもつながると考えています。教え合い、学び合う文化が根付いた職場は、雰囲気も温かく、自然と成長できる環境になります。
これからもスタッフ一人ひとりが安心して成長できる、そんな歯科医院を目指して、屋根瓦式教育のような工夫を積極的に取り入れていきたいと思っています。