
本日で、2026年度の学校歯科検診が無事に終了しました。
私が担当しているのは約600人の生徒さんが在籍する中学校です。少子化の影響もあり、この10年ほどで生徒数は約150人減りましたが、それでも毎回200人近い生徒さんを診察し、3日間かけて全校生徒の検診を行っています。
学校歯科検診を続けていると、毎年さまざまな気付きがあります。
今年特に印象的だったのは、2年生の虫歯が少なく、お口の中がきれいな生徒さんが多かったことです。もちろん個人差はありますが、「学年ごとにカラーがあるなあ」と毎年感じます。
また、これはあくまで私個人の印象ですが、検診の際に元気よく挨拶ができる生徒さんや、姿勢がしっかりしている生徒さんは、虫歯が少ないように感じます。
すると毎年つい考えてしまうことがあります。
「虫歯と成績には関係があるのだろうか?」
ということです。
もちろん、歯科医師としては「歯を磨けば成績が上がる」とは思っていません。
タイトルに「必要十分条件」と書きましたが、歯磨きは成績向上の十分条件ではありませんし、虫歯がないことが学力向上の必要条件でもありません。
しかし一方で、国内外には虫歯や口腔衛生状態と学業成績、生活習慣との関連を調べた研究が数多く存在します。虫歯の多い子どもは学力テストの成績が低い傾向を示したという報告や、生活習慣の乱れと虫歯リスクの関連を示した研究もあります。
ただし、そのような研究結果を見ても、「虫歯があるから成績が悪くなる」「歯を磨けば成績が良くなる」と結論づけることはできません。
研究者の多くは、その背景にある共通の要因に注目しています。
例えば、
・規則正しい睡眠・朝食を食べる習慣・家庭での生活環境・自己管理能力・健康への意識
といった要素です。
つまり、虫歯と成績が直接結び付いているというよりも、それらの根っこにある生活習慣が両方に影響している可能性が示唆されているのです。
そう考えると、中学生の頃によく言われたことの意味が改めて見えてきます。
早寝早起きをする。
朝ごはんを食べる。
よく噛んで食べる。
歯を磨く。
手を洗う。
身だしなみを整える。
時間を守る。
挨拶をする。
勉強する。
運動する。
当時は「また言われた」と思っていたかもしれませんが、どれも健康な生活を支える基本です。
そして、その基本をきちんと続けられる力が、お口の健康にも、学習にも、将来の社会生活にもつながっていくのかもしれません。
学校歯科検診をしていると、単に虫歯の有無だけではなく、生徒さんの日頃の生活が少し見えるような気がします。
大きな声で挨拶ができること。
姿勢よく座れること。
身だしなみが整っていること。
そして、お口の中をきれいに保てていること。
それぞれは別々のようでいて、実は同じ土台の上に成り立っているのではないでしょうか。
今年もたくさんの生徒さんの成長した姿を見ることができました。
来年の検診では、どんな学年カラーに出会えるのか今から楽しみです。
虫歯予防に特別な近道はありません。
毎日の当たり前を大切にすること。
その積み重ねが、健康なお口をつくり、ひいては人生を支える力になっていくのだと思います。
「結局のところ、虫歯と成績は必要十分条件の関係ではありません。しかし、その両方を支えている『良い生活習慣』は確かに存在するように思います。」







