今回は、矯正歯科治療で活躍する**「歯科矯正用アンカースクリュー」**についてご紹介します。

矯正治療というと、ワイヤーやマウスピースを思い浮かべる方が多いかもしれませんが、実はそれ以外にも治療を助けてくれる心強い装置があります。

その一つが、このアンカースクリューです。アンカーとは「固定」という意味で、矯正治療の中で歯を効率よく動かすための“固定源”として使われます。

アンカースクリューはとても小さなチタン製のスクリューで、必要に応じて歯ぐきなどの骨に一時的に埋め込みます。これにより、前歯をしっかり引っ込めたり、奥歯が動かないように固定したり、奥歯を前後に移動させたりと、さまざまな動きが可能になります。また、ゴムをかけて歯を引っ張る際の支えとして使われることもあります。埋め込む位置や使い方は症例によって異なり、ドクターの工夫やアイデア次第で治療の幅がぐっと広がるのが大きな魅力です。

当院でもアンカースクリューを用いた矯正治療を行うことは多く、特に**開咬（かいこう）**といって、奥歯は噛んでいるのに前歯が噛み合わないケースでは、高い効果を発揮することが少なくありません。従来の方法では難しかった歯の動きも、アンカースクリューを併用することで、より効率的かつ安定した治療が期待できます。

とても便利で有効な装置ではありますが、安心・安全に使用することが何より大切です。埋め込みの際には、歯の根っこや血管、神経を傷つけないよう、事前の検査と診査をしっかり行います。レントゲンやCTで骨の状態を確認し、必要に応じてサージカルガイドを作成するなど、入念なシミュレーションを行ったうえで処置を進めています。

アンカースクリューは「少し怖そう…」と感じられる方もいらっしゃいますが、適切な診断と丁寧な処置を行えば、矯正治療を力強くサポートしてくれる頼もしい存在です。矯正治療について気になることや不安な点がありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。一人ひとりに合った、前向きで安心できる治療をご提案いたします。明るい笑顔への一歩を、一緒に進んでいきましょう。