
医療機関は同じ土俵で反論できない
患者さんは「説明が不十分だった」「先生が冷たかった」と、自分の体験や感想を公開できます。一方、医療機関には守秘義務があり、患者さんの診療内容を自由に公表することはできません。医学的な説明には正確性や科学的根拠も求められます。また、社会・道徳性の面からも、同じ土俵で反論することは好ましくないことが多いように感じます。
仮に医院に説明資料や診療記録が残っていても、それを口コミの返信欄で示すことは難しい。ここには、発信に求められる根拠と、反証の機会にも構造的な非対称性があります。
「30分待った」は記録で検証できるかもしれません。しかし「患者のことを考えていない医院だ」という評価は、相手の内面への推測を含み、客観的に反証することが難しい。科学哲学でいう反証可能性(Falsifiability)の観点からも、両者は同じ種類の主張ではありません。
さらに厄介なのは、反証できる内容であっても、医療機関が証拠を公開できない場合があることです。検証可能な事実と検証困難な主観的評価が区別されないまま、星の数とともに社会的信用を左右していく。私は、この構造自体が大きな問題だと感じています。
これはGoogleのプラットフォーム設計の問題であると同時に、医療政策の問題でもあるでしょう。先日、ある地区の歯科医師会代表者がこの件について問題提議をしましたが、県歯科医師会の回答は多くの医療機関にとって満足のいくものではありませんでした。守秘義務を維持しつつ、公正な異議申し立てと評価の仕組みをどう保障するのか。医療機関単独での対応には限界があり、多くの医療機関はこの問題に苦慮していることも事実です。議論が必要だと思いませんか?








