
夏休み40日間、何をする?
夏休みが始まりましたね。
「夏休みは40日間もある」と聞くと、とても長く感じます。普段はできないことにも挑戦できそうですし、どこへ行こうか、何をしようかと考えるだけで、少しワクワクします。
けれど、カレンダーを眺めてみると、40日間は意外と短いものです。
今年は「週に1回はプールへ行こう」と目標を立てました。夏休み中、毎週行くと考えれば、かなりたくさん泳げるような気がします。
ところが、よくよく数えてみると、行けるのはたったの6回ほど。
せっかくなので、子どもたちとも夏休みの目標を立ててみました。
何かできるようになりたいことはある?
夏休みが終わるころ、どんな自分になっていたい?
そのためには、いつ、何をすればよいだろう?
一緒に考えてみると、子どもにとって40日後の自分を具体的に言葉にするのは、なかなか難しいようです。
でも、これは子どもに限ったことではありません。
まだ起きていない未来を具体的に思い描き、そこから逆算して今やるべきことを考える。
実は、かなり負荷のかかる作業です。
目の前の楽しいことや、今日やらなければならないことは分かりやすいのですが、40日後、半年後、数年後の自分となると、途端にぼんやりしてしまい、「とりあえず頑張る」という具体性の欠いた表現になってしまいがちです。
そこで、夏休みの終わりに少し変わっている自分を言葉にできたら、毎日の過ごし方も変わるのではないでしょうか。
「泳げなかった距離を泳げるようになった」「苦手だったことを一つ続けられた」「本を何冊か読み終えた」「肘をつかないでご飯を食べることができた」
そんな小さな変化でも、最初に目標を決めていれば、自分の成長として実感できます。反対に、何となく過ごしていると、変化していても気づかないまま終わってしまうかもしれません。
歯科診療をしていても、この「未来を考える」瞬間がたくさんあります。
パッと思いつくのは、患者さんの診断時です。
お口の中を診察し、レントゲンや写真、歯周組織の状態、かみ合わせなど、いくつかの検査を行います。そこで現在の問題点を洗い出し、診断し、治療方針を立て、実際の治療スケジュールを組んでいきます。
つまり診断には、これから行う治療行為などが(ほとんどのケースで)付随してきます。
「このままにしておくと、将来どうなる可能性があるのか」「治療によって、どのような状態を目指すのか」「そのためには、どの治療を、どの順番で行うのか」「どのくらいの期間・費用が必要なのか。」
見えている現在の情報をもとに、まだ見えていない未来をできるだけ具体的に描いていく作業です。
もちろん、治療方針を立てる考え方は、研修医のころにも教えてもらいました。しかし、それを実践の中で繰り返し叩き込まれたのは、矯正科に所属していたときだったように思います。
矯正治療では、歯が大きく移動します。成長期の患者さんであれば、顎の成長や顔つきの変化まで考えながら治療を進めます。今ある歯をどこへ動かすのか。かみ合わせをどこに設定するのか。治療後に、口元や顔全体がどのように見えるのか。
頭の中で何度もシミュレーションしながら(最近ではAIのサポートを受けながら)、治療目標を設定します。医学的に正しいゴールもあれば、患者さんの希望とするゴールもあります。また、年齢、体力、個人差等による限界もあります。どこをゴールとするのかによって、選ぶ治療方法も、必要な期間も変わります。一番頭を使う作業だと思います。
そして、当然ながら、すべてが最初のシミュレーションどおりに進むわけではありません。
歯の動き方には個人差がありますし、成長も完全に予測できるものではありません。治療の途中で状態を見直し、必要に応じて計画を修正することが何度もあります。
大切なのは、最初に立てた計画を何が何でも守ることではなく、目指すゴールを見失わず、その時々の状態に合わせて軌道修正することです。「現在を正しく把握し、未来のゴールを設定し、そこから逆算して考える力」は、今の歯科診療全般に役立っていると感じます。
夏休みの目標も、歯科治療の計画も、どこか似ているのかもしれません。
まずは今の自分を知ること。
次に、なりたい姿を思い描くこと。
そして、そこへ近づくために、今日できることを考えること。
予定どおりにいかなければ、途中で修正すればよいのです。プールへ行けない週があっても、別の日に水遊びをしたり、家でできる練習をしたりすることはできます。
40日後、子どもたちはどんな表情をしているでしょうか。そして私は、どんな夏休みだったと振り返るのでしょうか。
きっと40日間は、あっという間に過ぎていきます。
だからこそ、少しだけ未来を想像してみる。大きな目標でなくても、「夏休みが終わるころ、こうなっていたらいいな」と考えてみる。
まずは週に1回、全部で6回のプールから。
小さな目標を積み重ねながら、家族で夏の時間を楽しみたいと思います。







